犬と猫の避妊・去勢手術について|防げる病気も解説
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避妊・去勢手術は治療を目的とした手術ではありませんが、望まない妊娠を防ぐだけではなく、高齢になって発症しやすいさまざまな病気のリスクも減らすことができます。
特にメスでは「乳腺腫瘍」「子宮蓄膿症」「卵巣腫瘍」など、オスは「前立腺肥大」「精巣腫瘍」「肛門周囲腺腫」「会陰ヘルニア」などの病気を予防するために有効です。
高齢になってからでも手術は可能ですが、若い時期に避妊・去勢手術を行うことで手術中や手術後のリスクを減らせます。
今回は避妊・去勢手術の必要性やメリット・デメリットについて詳しくお伝えします。
■目次
1.避妊・去勢手術とは
2.避妊手術で予防できる疾患
3.去勢手術で予防できる疾患
4.避妊・去勢手術の注意点やリスク
5.まとめ
避妊・去勢手術とは
避妊手術はメスの犬や猫に対して行われる手術で、卵巣と子宮を摘出します。発情期の問題行動や妊娠の可能性を無くし、乳腺腫瘍や子宮蓄膿症などの疾患の発生リスクも減少されます。
去勢手術はオスの犬や猫の精巣を摘出することで、発情期の問題行動の改善や、前立腺疾患、精巣腫瘍のリスクを減少させます。
手術の時期としては、体が性成熟を迎える生後6ヶ月頃からの手術を推奨しています。
高齢になってからの手術も可能ですが、持病を抱えていたり、体力や免疫力が低下していたりするので、麻酔のリスクが高まる可能性があります。そのため、若い時期に手術を行うことをお勧めしています。
また、避妊や去勢手術は望まない妊娠を防ぐだけではなく、発情期によく現れる大きな鳴き声やマーキング、脱走など飼い主様を困らせてしまうような問題行動を抑制することができます。
避妊手術で予防できる疾患
<乳腺腫瘍>
乳腺に硬いしこり(腫瘍)ができます。犬では発生の約50%、猫では約90%が悪性です。
最初の発情期前に避妊手術を行うことで、乳腺腫瘍の発症リスクを大幅に低減することが可能です。
<子宮蓄膿症>
子宮内に細菌が侵入し膿がたまる病気です。この病気は特に発情後の黄体期に免疫力が低下することでリスクが高まるため、子宮を摘出する避妊手術によって、子宮蓄膿症の発生を防ぐことができます。
<卵巣腫瘍>
ホルモン分泌の増加が原因で発生します。卵巣腫瘍は時に悪性であり、転移や再発を起こすことがあります。
去勢手術で予防できる疾患
<前立腺肥大>
前立腺の組織が過形成を起こして肥大してしまう病気で、男性ホルモンが影響しているといわれています。
前立腺が肥大すると尿道や直腸を圧迫し、排尿障害や排便困難などの症状を引き起こします。
<精巣腫瘍>
精巣に発生する腫瘍は多くが良性ですが、悪性腫瘍の可能性もあります。
腫瘍により精巣が腫大し硬化すると、皮膚の変化(脱毛や色素沈着)、乳房の腫脹(雌性化)、貧血などの症状が現れることがあります。
<肛門周囲腺腫>
肛門の周囲にある皮脂腺が腫瘍性に増殖する病気で、尾の付け根や包皮など肛門周囲以外にも発生することがあります。
<会陰ヘルニア>
ヘルニアは直腸を圧迫して便が通過するのが難しくなることで、便秘や排便時の痛みを引き起こします。
避妊・去勢手術の注意点やリスク
麻酔はリスクが伴いますので、術前検査が大切になります。
手術を行う前に血液検査やレントゲン検査、エコー検査を行い、健康状態に問題がないか、麻酔をかけても大丈夫か確認したうえで手術を行います。
避妊や去勢手術後は、性ホルモンの減少により基礎代謝が下がるため、手術前と同じ食事内容だと太りやすくなってしまいます。また手術を受けた後は、食欲が増す傾向にあるため、過食に注意が必要です。
適度な運動とカロリー控えめのフードを適切な量で与え、体重管理を行うようにしましょう。
まとめ
避妊・去勢手術は、愛犬や愛猫の病気の予防と行動問題の解決にも役立ちます。
手術のタイミングやリスクについて心配がある場合は、ぜひ当院にご相談ください。
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