がんの補助治療 ‐オゾン療法‐
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がんは愛犬や愛猫の高齢化とともに罹患率が高くなり、人間と同じように死因のトップを占めるまでになっています。手術や抗がん剤、放射線による治療が一般的ですが、最近は補助治療である「オゾン療法」への注目が高まっています。
今回は、犬や猫のがんがどのような病気なのか、そして補助治療であるオゾン療法がどんな治療法なのか解説します。
■目次
1.オゾン療法とは?
2.がんの原因
3.症状
4.診断方法
5.治療方法
6.まとめ
オゾン療法とは?
オゾン療法は、オゾンガス(O3)を医療目的で使用する治療法で、犬や猫のがん治療において、免疫系の強化に役立ちます。オゾンは免疫応答を促進し、体ががん細胞に対抗するのを助けることができます。
さらに、オゾンの抗酸化作用により、体内の自由基を減少させ、細胞の損傷を防ぎます。
加えて、疼痛管理と回復の促進にも効果的で、治療後の快適性と全体的な回復プロセスを改善することが報告されています。
がんの原因
犬と猫のがんの原因は多様ですが、主に以下のような要因が考えられます。
・ホルモンの影響
避妊手術を早期に行うことでリスクが大幅に減少します。
・ウイルス感染
特に猫では、FeLVやFIVのようなウイルスがリンパ腫のリスクを高めることがあります。
・遺伝
特定の犬種や猫種にはがんになりやすい遺伝的傾向があります。
・環境因子
受動喫煙、化学物質への曝露、紫外線への露出などの環境因子もがんのリスクを高めます。
・食事と体重
不適切な食事や肥満もがんのリスクを高めることが知られています。
・年齢
一般に、犬と猫も人間と同じように、高齢になるとがんになるリスクが高まります。
症状
多くの場合、初期の段階ではほとんど症状がみられません。
がんの種類によって異なりますが、進行していくと以下のような症状がみられるようになります。
・腫瘍やしこり:体の表面または内部に腫瘍やしこりが現れることがあります。
・体重の減少:説明のつかない体重減少はがんのサインであることがあります。
・食欲不振:がんによって食欲が減退することがあります。
・呼吸困難:特に肺がんの場合に見られる症状です。
・傷の治りが悪い:がんが免疫システムに影響を与えるため、傷の治りが遅くなることがあります。
・行動の変化:痛みや不快感により、行動が変わることがあります
診断方法
視診、レントゲン検査、超音波検査を通じてしこりが確認できた場合でも、それが良性なのかがんなのかを判断することはできません。
そのため、腫瘍ががんであるかどうかを明らかにするためには、腫瘍の組織や細胞を採取して顕微鏡で観察する「病理検査」を行う必要があります。この検査によって、腫瘍が良性か悪性かの判定が可能となります。
治療方法
がんの治療方法は「外科手術」「抗がん剤治療」「放射線治療」の3本柱が基本でしたが、最近では新たに「免疫療法」という4本目の柱が加わった四大治療が徐々に浸透してきています。
その免疫療法のひとつにオゾン療法があります。オゾン療法は強力な酸化作用のあるオゾンガスを利用する治療法で、免疫機能の活性化や体内の酸素化、細胞の活性化による抗酸化力の向上などの効果が期待でき、がんによって低下した免疫力の向上につながります。
また、がん細胞は一般に酸素レベルが低い環境を好むため、オゾンの使用は酸素供給を高め、がん細胞の増殖を抑制することに役立ちます。
加えて、手術後の補助療法として行われることが多く、再発や転移の予防効果も期待できます。
まとめ
オゾン療法は副作用がほとんどなく、犬や猫にとって負担が少ない治療方法です。
これは術後の補助療法としてだけでなく、他の治療法との併用にも適しており、薬の副作用を軽減したり、治療効果を向上させたりする効果が期待できます。
当院ではオゾン療法をはじめ、ホモトキシコロジーや漢方など、動物の身体への負担が少ない治療にも対応をしています。がんの治療にお悩みの方は、ぜひ一度当院へご相談ください。
■ホモトキシコロジーや漢方についてはこちらで解説しています
・犬や猫のホモトキシコロジーとは|ドイツ発祥の自然療法の一つ
・犬や猫の治療で使う漢方とは|漢方薬の効果や副作用の有無を解説
■オゾン療法はこちらの記事でも解説しています
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