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犬の腰痛と鍼灸治療について|痛みを和らげる効果がある

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日常生活の中で犬が腰痛を感じているかどうかを判断するのは困難です。しかし、犬の椎間板ヘルニアの生涯有病率が約3〜4%であることを鑑みると、腰痛を感じている犬が少なくない可能性もあります。

人間と同様に、腰痛は犬の生活の質(QOL)を低下させる問題であるため、適切な治療が必要です。

 

この記事では、犬の腰痛と鍼灸治療について解説します。

■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ

 

原因

犬の主な腰痛は様々な原因で発生しますが、主な原因は以下の4つに分けられます。

 

老化

動物の背骨の間にある一つ一つの椎間板は、クッションの役割を果たす重要な組織です。

正常な状態の椎間板は、豊富な水分とコラーゲンを含んでいて、柔らかさが保たれています。しかし、加齢に伴って椎間板内の水分量が減少し、コラーゲンが変性することで椎間板が硬くなることがあります。

この硬くなった椎間板は、クッション機能が低下し、結果として衝撃が脊髄に直接伝わり、痛みを感じるようになります。

 

遺伝的な要因

軟骨異栄養性犬種 (ミニチュアダックスフンド、ウェルシュコーギーなど)は1〜2歳の若齢時から椎間板がだんだんと硬く変性し、椎間板ヘルニアのリスクが高まります

特にダックスフンドの椎間板ヘルニアの生涯有病率は 20~62%程度であると報告されています。

 

生活環境

フローリングは滑りやすいため、犬にとっては歩きにくい材質です。

犬がフローリング上で日常的に滑ることは、脊椎や股関節に負担をかけてしまい、ダメージが蓄積されることで、腰痛の大きな原因となります。

 

気温や気圧

気温や気圧の変化は、よく見落とされがちですが、犬の腰痛に影響を与えることがあります。人間の場合と同様に、寒い日や天気の悪い日には、関節や古傷が痛むことがあります。犬も同じで、特に冬場や気圧が低い日には末梢の血管が収縮し、血流が悪くなるため、腰痛が悪化することがあります。

 

症状

犬の腰痛の主な症状として、腰部痛と歩行の異常が現れます。

腰部痛を抱えている犬は、散歩に行きたがらない、散歩中に突然座り込む、抱っこしようとすると怒るか鳴く、日常的に震えるなどの様子を示すことがあります。
歩行の異常としては、足を引きずるように歩く、歩行中にふらつくなどの症状が見られることがあります。

さらに、椎間板ヘルニアが進行すると、麻痺(自分の意思で足を十分に動かせない)、完全に後ろ足を引きずって歩く、自力で排泄ができないなどの重い症状が現れることがあります。これらの症状は深刻な健康問題を示している可能性があり、速やかに獣医師の診断を受けることが重要です。

 

診断方法

犬の腰痛の診断には身体検査 (触診、歩様検査、神経学的検査)、レントゲン検査、血液検査などを行います。

 

身体検査

腰部を軽く押して痛みを感じているか、歩様に異常が見られないか、姿勢反応、脊髄反射、脳神経検査などを行います。

 

レントゲン検査

椎間板ヘルニア、関節炎、骨折などが腰痛の原因になっていないか確認します。

※椎間板ヘルニアを正確に診断するために、CTやMRIといったより高性能な画像検査を実施することがあります。

 

血液検査

全身状態の把握や炎症反応の有無などを確認します。

 

治療方法

椎間板ヘルニアや骨折が腰痛の原因である場合は、それぞれの疾患に応じた治療が行われます。一方で、明確な原因がない腰痛(加齢や気温・気圧が原因の場合)は、痛み止めや鍼灸治療が行われることがあります。鍼灸は、特定の経穴(いわゆるツボ)に細い針を刺入したり、もぐさを置いて燃焼させて刺激を加えることで、痛みを和らげたり体の自然治癒力を高める治療法です。

 

鍼灸というと痛いのでは?とイメージする飼い主様もいらっしゃると思いますが、実際には痛みはほとんどなく、施術中にリラックスして寝てしまうペットもいます。

鍼灸の最大のメリットは、副作用なしで腰痛などの慢性痛を和らげることができる点です。

 

さらに、局所的に熱による刺激を加えることで血行を促進し、免疫細胞を活性化させたり、自律神経やホルモンバランスを整えたりする作用もあるため、痛みを和らげるだけでなく、体調全体を改善する効果が期待されます。

したがって、犬の腰痛治療において鍼灸は非常に有効な治療法と言えるでしょう。

 

予防法やご家庭での注意点

犬の腰痛を予防するためには、腰に負荷をかけるような動作、例えば高いところからの飛び降りなどを避けることが重要です。

また、適度な運動を通じて筋肉量を維持すること、滑りやすいフローリングに絨毯を敷いて滑りにくくすること、冬場は室温を暖かく保つことなども大切です。

 

ご家庭では、普段から犬の歩行の様子や家での行動を観察し、何か違和感があればすぐに動物病院を受診してください。

 

まとめ

腰痛は、愛犬の生活の質(QOL)を大きく低下させる可能性があります。

愛犬と飼い主様が長く健康に過ごせるように、日常生活で腰痛の予防に注意を払ってみてください。

 

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〈参考資料〉

https://vth-tottori-u.jp/wp-content/uploads/2020/06/topics.vol_.98.pdf

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