犬がおなかの調子が悪い?|漢方による下痢などの消化器系トラブルの治療について
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犬は下痢などの消化器系トラブルが多く見られますが、実は漢方による治療も行えます。漢方治療とは、自然の力を借りて体のバランスを整え、さまざまな健康問題を根本から改善しようとするアプローチです。
しかし、具体的にどのような治療法なのかよくわからないという飼い主様は決して少なくありません。
今回は犬の消化器系トラブルに対して行われる漢方治療について、詳しく解説していきたいと思います。
■目次
1.おなかの調子が悪くなる工程
2.おなかの調子が悪くなる原因や病気
3.対処法
4.漢方の活用について
5.まとめ
おなかの調子が悪くなる工程
東洋医学では、気・血(≒血液)・津液(≒体液)が体を作る基本物質であると考え、健康な状態であればこれらが互いに協調しあってうまくバランスをとっています。
しかし、気や血が不足したり停滞したりしてこれら3つのバランスが崩れると、消化吸収に関係するさまざまな生理機能が低下しておなかの調子が悪くなり、下痢や便秘、腹痛などを引き起こします。
おなかの調子が悪くなる原因や病気
犬の消化器系の不調を引き起こす原因は多岐にわたります。
不適切な食事や急な食事の変更、ストレスや環境の変化、感染症や寄生虫の侵入、慢性的な消化器疾患などが、これらの不調を引き起こす主な原因です。
これらの原因が組み合わさることで消化器系に負担がかかり、おなかの調子が悪くなります。
また、おなかの不調を引き起こす主な病気には、以下のようなものがあります。
・感染性胃腸炎
・炎症性腸疾患(IBD)
・蛋白漏出性腸疾患
・膵炎
・異物誤飲、中毒
・食物アレルギー
・腫瘍
対処法
検査には東洋医学的な検査と西洋医学的検査の2種類があります。
■東洋医学的な検査
四診で得られた情報をもとに体質を判断する
・問診:症状や生活状況を確認
・望診:視覚を使って全身の様子や舌の状態を確認(おなかの調子が悪いときは舌がぼてっとしてきます)
・聞診:匂いや呼吸音などを確認
・切診:身体に触っておなかや脈の状態などを確認
■西洋医学的な検査
各種検査で得られた情報をもとに病名をつける
・血液検査
・レントゲン検査
・エコー検査
・糞便検査
どちらの医学にも得意・不得意があるため、漢方を処方する場合であっても西洋医学的検査をきちんと行うことで、より効果的な治療を行えます。
また、治療法は検査結果をもとに薬物療法や食餌療法、外科手術、漢方治療などから適切なものを選択し、場合によっては複数を組み合わせて治療を行います。
漢方の活用について
西洋薬は特定の症状や病気に強い効果を発揮するのに対し、漢方は体の内側からバランスを整えて体質を改善し、免疫力を高めて不調を改善する効果があります。
そのため、以下のように、漢方にはさまざまな活用の仕方があります。
・おなかの調子が悪いけれど病名まではつかない状態(未病)で服用することで病気の発症を予防する
・年齢や体力的に西洋薬では対応が難しいケースにも治療ができる
・ステロイド剤と併用することでステロイド剤の量を減らせる
まとめ
犬の消化器系トラブルに対して、漢方治療は根本的な改善を目指す有効なアプローチであり、体の内側からバランスを整え、自然治癒力を高めることで、症状を改善します。漢方はすぐに効果が表れないと勘違いされることがありますが、適切に活用されれば多くの場合は数日で症状の改善が見られます。
当院では漢方を数多く取り揃えておりますので、愛犬のおなかの調子が気になる方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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<参考>
これ1冊できちんとわかる 図解 東洋医学(マイナビ)