犬の膀胱炎と鍼灸について|鍼灸を行って免疫力を上げる
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愛犬のトイレが近かったり、排尿のときに痛そうに鳴いたりしていたら、もしかしたら膀胱炎を引き起こしているかもしれません。膀胱炎は主に細菌感染が原因で起こるため通常は抗菌薬を投与しますが、耐性菌が出てくると治療が長引いてしまうことがあります。
鍼灸はこのような薬剤に耐性が出ているケースでも施術可能で、治癒に至るのをサポートしてくれます。
今回は、犬の膀胱炎と鍼灸について解説していきます。
■目次
1.膀胱炎の症状
2.犬の膀胱炎の原因や病気
3.診断方法や治療方法
4.鍼灸の活用について
5.まとめ
膀胱炎の症状
犬が膀胱炎になると、以下のような症状が現れます。
・残尿感からトイレに頻回に通うもののおしっこが少量しか出ない(頻尿)
・尿の色が赤っぽい(血尿)
・排尿時に痛みから「キャン」と鳴く(排尿痛)
また、細菌性膀胱炎が重症化し、炎症が腎臓にまで波及すると腎盂腎炎という病気を起こしてしまうかもしれません。こうなるととても危険な状態ですので、早期発見・早期治療が重要です。
犬の膀胱炎の原因や病気
主に大腸菌やブドウ球菌といった細菌感染が原因で起こります。細菌性の膀胱炎は、ほとんどが腸内細菌や皮膚の常在菌などが尿道を逆行して膀胱に感染したもので、オスよりも尿道が短いメスに多い傾向があります。
また、膀胱結石や膀胱の腫瘍、ストレス、飲水量の低下などが原因で起こることもあります。特に気温の下がる冬は飲水量が低下するため、膀胱炎になる犬が増える傾向にあります。
診断方法や治療方法
問診や一般身体検査を行った後に、以下のようにいくつかの尿検査を行い、総合的に診断をします。
・官能検査
尿のにおいや色、混濁度合いなどを確認する
・尿試験紙法
専用の紙に採尿した尿をかけ、蛋白質や潜血の有無、pHなどを確認する
・尿比重の測定
専用の機械で尿の濃さを測定する
・尿沈渣の確認
尿に含まれる細菌や結晶などを顕微鏡で観察する
また、必要に応じて血液検査やレントゲン検査、超音波検査なども行います。
これらの検査の結果、細菌感染が認められる場合には抗菌薬を処方し、必要に応じて消炎剤や止血剤を併用したり、療法食による食餌療法を行ったりします。
鍼灸の活用について
膀胱炎のもう一つの治療法に鍼灸があります。実は、膀胱炎は免疫力の低下も大きく関係しているため、鍼灸を行って免疫力を上げることにより、治癒をサポートしてくれます。
他にも、痛みを軽減し動物の快適性を高める効果があります。これは、体内の痛みを和らげる化学物質の放出を促すことによるものです。
また、膀胱の炎症を緩和し、尿路感染症の症状を軽減するのにも役立ちます。
鍼灸は、体の特定の点に細い鍼を刺すことで、体の自然な治癒力を促進し、健康状態を改善する伝統的な中国医学の治療法です。人間の医療における鍼灸の使用は広く知られていますが、動物に対する鍼灸治療も効果的であるとされています。
実際に当院でも、脊椎損傷をして慢性の細菌性膀胱炎になっていた子に対して通常の治療を行っていたところ細菌に耐性ができてしまってなかなか治らず、尿のにおいもきつくなっていたために鍼治療を行った結果、悪化を抑えられた症例がありました。
まとめ
犬の膀胱炎には、抗菌薬の投与といった通常の治療に加え、鍼灸を併用することによって治療効果が高まり、症状の改善や治癒へと導いてくれます。
当院では鍼灸以外にもホモトキシコロジーや漢方治療などの東洋医学的治療を導入しておりますので、膀胱炎がなかなか治らずにお悩みの方は、是非一度ご相談ください。
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<参考>
小動物臨床鍼灸学(日本伝統獣医学会)