犬や猫の慢性的な便秘と漢方の治療について|便秘で苦しむ愛犬・愛猫を救う
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愛犬や愛猫が何日も排便をしていなかったら、便秘なのではないかと心配になりますよね。
人間の場合、軽い便秘であれば病院に行かずに、水分を多く摂取したり、市販の漢方薬を飲んだりして自分で対処する人も多いと思いますが、動物たちの場合はどうすれば良いのでしょうか。
今回は、犬と猫の便秘について、症状や漢方をはじめとした治療方法、気を付けるポイントを解説します。
■目次
1.症状
2.治療方法
3.気を付けるべきポイント
4.まとめ
症状
愛犬や愛猫は通常、1日1回以上排便をします。しかし、毎日排便がないからといって、必ずしも便秘とは限りません。便秘とは、強くいきまないと排便できない、残便感がある、便が硬い、排便回数がいつもより少ないといった状態を指します。
そのため、愛犬や愛猫に以下のような症状が見られた場合、便秘が疑われます。
・トイレでいきむのになかなか便が出ない
・少ない量の便を1日に何回もする
・便が硬くコロコロしている
また、便秘が長く続くと、便が腸の中にとどまり溜まってしまいます。すると、腸の一部である結腸が拡張する「巨大結腸症」になることがあり、犬よりも猫で多く見られます。
巨大結腸症になると便を送り出すことが難しくなり、便秘がさらに悪化します。これにより、排便するときに痛そうに鳴く、元気や食欲がない、お腹が張っている、腹痛、吐く、といった症状が現れることもあります。
治療方法
便秘の治療にはいくつかの方法があります。まず、下剤やお腹の動きを良くする薬を飲ませる方法があります。これにより、便が柔らかくなり、排便がスムーズになります。また、食事療法も有効です。繊維質の多い食事や、特定の処方食を取り入れることで、腸内環境を整え、便秘の予防に役立ちます。
硬い便が腸内で詰まっている場合には、お尻から直接便を掻き出す摘便や、浣腸を行うこともあります。
しかし、重度の巨大結腸症を起こしている場合など、状況によっては外科手術が必要になることもあります。
慢性的な便秘に苦しんでいる場合には、体質を改善するために漢方治療を取り入れるのも一つの手です。漢方薬には、腸が本来持っている力を取り戻して排便の状態を整えるという効果が期待できます。副作用がほとんどないため、動物たちへの負担が少なく済むというメリットもあります。
ただし、便秘に効く漢方薬は複数あり、体質によってどの漢方薬を使用するか見極める必要があります。そのため、飼い主様がご自身で使用している漢方薬などを自己判断で与えることは避けてください。
漢方治療を考えている場合は必ず獣医師に相談し、適切な薬を選んでもらうことが大切です。
気を付けるべきポイント
便秘を予防するためには、以下の点に注意することが大切です。
<食事の管理>
食物繊維をしっかり摂取し、飲水量を確保するために飲み水をこまめに交換したり、水飲み場を増やしたりなど工夫をしましょう。
<運動の重要性>
運動をするとお腹の動きが良くなるため、毎日のお散歩や室内遊びの時間を確保することが重要です。適度な運動を心がけることで、便秘の予防につながります。
<ストレスの軽減>
ストレスを取り除くことも便秘予防には欠かせません。生活環境を見直し、環境の変化があった場合には愛犬や愛猫とのコミュニケーションの時間を多めに取る、静かに過ごせる空間を確保するなどして、不安を取り除いてあげましょう。
また、トイレも常に清潔に保ち、落ち着いて排便できるような場所に設置することが大切です。
まとめ
愛犬や愛猫に便秘が疑われる場合、様子を見たり自宅で対処したりしているうちに、症状が悪化してしまうケースもあります。そのため、2〜3日便が出ていないような場合には、念のため動物病院を受診するようにしましょう。
当院では一般的な便秘治療に加え、漢方による治療も行っております。そのため、便が出ない日が続いている場合や、慢性的な便秘に悩まされている方がいらっしゃいましたら、当院では個々の動物(環境、食事、体質等)に合わせ、動物専用の漢方薬を処方しておりますので、ぜひご相談ください。
東洋医学は、痛みを感じたら痛み止めというように病気の個々の症状を治すのではなく、体質そのものを改善するため、ホルモンバランスの乱れや原因がはっきりとしない病気の予防などにも有効です。
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