犬と猫のアトピー性皮膚炎の漢方治療について|オーダーメイドで体質に合わせた治療
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愛犬や愛猫が体をしつこく掻いていたら、もしかしたらアトピー性皮膚炎かもしれません。この病気は強い痒みや炎症を引き起こし、生活の質を大きく損なうことがあります。
アトピー性皮膚炎は慢性的な病気であり、長期間にわたって痒みをコントロールする必要があります。そのため、動物たちへの負担が少ない漢方治療を取り入れることも有効です。愛犬や愛猫が快適に過ごせるように、早めの対策が大切です。
今回は、犬と猫のアトピー性皮膚炎について、症状や漢方治療をはじめとした治療方法、気を付けるポイントなどを解説します。
■目次
1.症状
2.診察方法
3.治療方法
4.気を付けるべきポイント
5.まとめ
症状
アトピー性皮膚炎の主な症状として、まず挙げられるのは強い痒みです。特に耳、顔、脚、腹部などに痒みが強く現れます。しつこく掻く、床などにこすりつける、執拗に舐めたり噛んだりする行動が続くと次第に毛が抜け、皮膚が黒ずんでしまうことがあります。
また、皮膚に赤みや炎症が見られることも多く、掻きむしることでさらに悪化します。加えて、皮膚が乾燥して鱗のようなものができることがあります。この乾燥は痒みを助長し、症状を一層悪化させる原因となります。
最悪の場合、掻きむしった傷口からバクテリアや真菌が感染し、二次感染のリスクが高まることもあります。
診察方法
残念ながら、アトピー性皮膚炎を一発で断定できる検査方法は現時点では存在しません。
そのため、問診や身体検査を通じてアトピー性皮膚炎が疑われる場合には、皮膚検査や血液検査を行い、似たような症状を引き起こす他の病気を除外することで診断を行います。
治療方法
治療方法について、東洋医学と西洋医学の両面からご説明します。
<西洋医学>
アトピー性皮膚炎の治療の基本は、薬物療法、シャンプー療法、食事療法です。
薬物療法では、抗ヒスタミン薬を使用して痒みを抑えます。また、ステロイド治療によって炎症を抑えることができますが、長期間の使用は副作用を引き起こす可能性があるため注意が必要です。さらに、二次感染を防ぐために抗生物質が投与されることもあります。
アトピー性皮膚炎は完治が難しいため、生活に支障が出ない程度に痒みをコントロールすることを目標に治療を進めていきます。
<東洋医学>
最近では東洋医学、特に漢方治療を取り入れる動物病院も増えてきています。東洋医学は、動物の体質や全体のバランスを重視して治療を行います。
漢方治療では、動物の個々の体質や症状に合わせて特定の漢方薬が処方されます。漢方薬は自然由来の成分を使用しているため副作用が少なく、西洋医学的治療と併用することで、薬の量を減らすことができるというメリットもあります。
特にアトピー性皮膚炎の場合、長期的にステロイド剤を使用することが多いため、副作用を心配して漢方治療を希望する飼い主様もいらっしゃいます。
気を付けるべきポイント
アトピー性皮膚炎は完治が難しく、治療は長期にわたることが多い病気です。症状が良くなったり悪くなったりを繰り返すため、根気強く病気と付き合っていくことが大切です。
日々のケアや観察をしっかり行いながら動物病院とうまく連携し、愛犬や愛猫への負担を極力抑えながら治療を進めていきましょう。
まとめ
アトピー性皮膚炎は強い痒みによって愛犬や愛猫に大きなストレスをもたらし、ステロイド剤の長期服用による副作用も心配されます。そのため、愛犬や愛猫の体への負担を最小限に抑えられる漢方治療は、アトピー性皮膚炎の治療の選択肢の一つとしておすすめです。
また、当院では従来の西洋医学に加えて、漢方・鍼灸といった東洋医学を取り入れた統合医療を行っています。個々の動物(環境、食事、体質等)に合わせ、動物専用の漢方薬を処方しており、オーダーメイドの治療ができることが漢方薬の強みです。
東洋医学は、痛みを感じたら痛み止めを、というように病気の個々の「症状」に対して対処する西洋医学の考え方ではなく、体質そのものを改善することを目的としています。そのため、ホルモンバランスの乱れや原因がはっきりとしない病気の予防などにも有効です。
漢方治療に興味がある方や、治療について詳しく知りたい方は、ぜひ一度ご相談ください。
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