外耳炎と漢方の治療について|副作用が少なく、体質改善にも効果的
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外耳炎は、犬や猫によく見られる病気の一つで、一般的には点耳薬や内服薬を使った治療が行われます。しかし漢方薬を併用することで、薬の量を減らせることや、治療が早く進むといったメリットが期待できます。
今回は、外耳炎と漢方の症状や治療について解説します。
■目次
1.外耳炎とは
2.症状
3.診察方法
4.治療方法
5.気を付けるべきポイント
6.まとめ
外耳炎とは
外耳炎とは、耳の入り口から鼓膜まで(=外耳)に炎症が起こった状態を指します。寄生虫感染やアレルギー、異物、腫瘍などが原因で発生し、これにより細菌や真菌の二次感染が起こると、さらに悪化します。
特に耳の中の湿度が高まると細菌や真菌の二次感染が起こりやすくなります。そのため、耳の垂れた品種、耳毛の多い品種に好発します。また、湿度の高い季節やシャンプー後、水遊び後なども注意が必要です。
症状
外耳炎になると、以下のような症状が見られます。
・耳を痒がる
・耳が赤くなる
・耳垢が異常に多くなる
・耳から悪臭がする
・耳から膿や液体が出る(耳ダレ)
診察方法
診察方法としては、まず問診と視診を行った後、耳鏡を使って耳の中の状態を詳しく確認します。
また、細菌や真菌による二次感染が起きていないかを確認するために、耳垢検査も実施します。耳垢検査では、耳垢を採取して顕微鏡で観察します。
治療方法
外耳炎の治療は、基本的に耳洗浄、点耳薬、内服薬によって行います。また、原因が特定されている場合は、その治療も同時に行います。
当院ではこれらの西洋医学的治療に加え、漢方薬を使った東洋医学的治療も取り入れています。漢方薬による治療は、不足しているものを補い、過剰なものを取り除くことで体のバランスを整え、体質を改善し、自然治癒力を高める効果があります。
さらに、漢方薬は副作用がほとんどありません。体質を改善することで、西洋薬の量を減らしたり、治療期間を短くしたりすることができるというメリットもあります。
外耳炎は西洋医学的治療だけでは慢性化してしまうことが少なくないため、治療が長引く場合や改善が見られない場合は、漢方薬との併用をおすすめします。
気を付けるべきポイント
西洋医学的治療は、特定の病気や症状に対して明確な治療法が決まっているため、この病気にはこの薬、この症状にはこの薬といった治療が行われます。
一方、東洋医学的治療は体のバランスを整えることを目的としているため、同じ外耳炎であっても使用する漢方薬が異なることがあります。
そのため、例えば他の愛犬や愛猫が外耳炎になった際に使用していた漢方薬が残っていても、自己判断で別の子に同じ漢方薬を与えることは避けてください。必ず獣医師の指示に従い、それぞれの個体に合った治療を行うようにしましょう。
まとめ
外耳炎は発生率が高く、慢性化するケースも多いため、愛犬や愛猫の耳に異常が見られた場合は、なるべく早めに動物病院を受診しましょう。
当院では従来の西洋医学に加えて、漢方や鍼灸といった東洋医学を取り入れた統合医療を行っています。
個々の動物の環境、食事、体質などに合わせて、動物専用の漢方薬を処方いたします。オーダーメイドの治療が可能なことが漢方薬の強みです。
東洋医学は、痛みがあれば痛み止めを使うというように症状を直接治すのではなく、体質そのものを改善することを目指します。そのため、ホルモンバランスの乱れや原因がはっきりしない病気の予防にも有効です。
愛犬や愛猫の健康にお悩みの方は、ぜひ一度当院にご相談ください。
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参考:これ1冊できちんとわかる 図解 東洋医学(マイナビ)