夏バテに漢方薬は効くの?|暑い夏を漢方薬で乗り切る!
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気温が上がる季節になると、愛犬や愛猫の夏バテが心配になる飼い主様も多いのではないでしょうか。私たち人間と同じように、犬や猫も暑い時期にはうまく体温を調節できず、元気や食欲が落ちたり、消化器症状が現れたりします。
ひんやりグッズを使って対策をしている飼い主様もいらっしゃると思いますが、実は漢方薬が効果的であることをご存じでしょうか。
今回は、犬や猫の夏バテと漢方薬について詳しく解説します。
■目次
1.夏バテの原因と症状
2.夏バテの対応策
3.夏バテの予防策やご家庭での注意点
4.漢方薬と生活習慣の組み合わせ
5.まとめ
夏バテの原因と症状
夏バテは高温多湿な環境や温度差などにより、うまく体温調節ができなくなることで起こります。
犬や猫は人間よりも体温が高く、汗腺がほとんどないため、汗をかいて体温を調節することができません。そのため、体に熱がこもると、舌を出して「ハッハッ」と短い呼吸をする「パンティング」で熱を逃がそうとします。しかし、短頭種はパンティングが苦手なため、特に夏バテしやすい傾向にあります。
犬や猫が夏バテをすると、元気や食欲がなくなり、運動を嫌がる様子が見られます。また、重度の場合には嘔吐や下痢といった消化器症状や脱水症状を引き起こすこともあります。
夏バテの対応策
愛犬や愛猫が夏バテをしてしまったら、まずは涼しい場所に移動させましょう。市販のクールマットの使用や、凍らせたペットボトルをタオルで巻いて一緒に置いてあげると、体を冷やすのに効果的です。
そして、しっかりと水分補給をさせることも大切です。食事をウェットフードに変更したり、ドライフードをぬるま湯でふやかしたりすると消化も良くなるため、水分補給に加えお腹への負担も軽減できます。
さらに、漢方薬を試してみるのもおすすめです。東洋医学では、動物の健康は「気・血・津液」と「陰・陽」のバランスによって保たれていると言われています。
このバランスが崩れると体調が悪くなるため、例えば脱水で津液が不足している場合には津液を補う漢方薬を、体に熱がこもっている場合には熱を冷ます漢方薬を使うことで、夏バテを改善することができます。
夏バテの予防策やご家庭での注意点
夏バテを予防するために、以下のことを心がけましょう。
・室温や湿度をしっかり管理する
・こまめに水分補給する
・消化の良い食事を与える
・散歩は涼しい時間帯に行う
また、漢方薬も夏バテの予防に役立ちます。ただし、どの漢方薬を使うかはその時々の体の状態によって異なりますので、漢方薬を試したい場合は必ず動物病院で処方してもらいましょう。自己判断で漢方薬を与えることは避けてください。
漢方薬と生活習慣の組み合わせ
予防的に漢方薬を飲む場合、生活習慣の見直しと組み合わせることで、より高い効果を期待できます。東洋医学には、生活習慣の改善によって病気を予防する「養生(ようじょう)」という考え方があります。養生の方法としては、食事療法(食養)や適度な運動、休養などが含まれ、漢方薬も養生の一部として役立ちます。
ただし、養生は愛犬や愛猫の体の状態に合わせて行うことが大切です。そのため、養生を始める前に必ず一度動物病院で診察を受け、適切な指導を受けるようにしましょう。
まとめ
日本の高温多湿な環境は犬や猫にとっても厳しく、夏バテしてしまう子が多くいます。そのため、温度や湿度に気をつけたり、こまめに水分補給をしたりしながら、養生によって体調を整え、夏バテ知らずの体作りに励みましょう。
当院では従来の西洋医学に加えて、漢方や鍼灸といった東洋医学を取り入れた統合医療を行っています。
個々の動物の環境、食事、体質などに合わせて、動物専用の漢方薬を処方いたします。オーダーメイドの治療が可能なことが漢方薬の強みです。
東洋医学は、痛みがあれば痛み止めを使うというように症状を直接治すのではなく、体質そのものを改善することを目指します。そのため、ホルモンバランスの乱れや原因がはっきりしない病気の予防にも有効です。
愛犬や愛猫の健康にお悩みの方は、ぜひ一度当院にご相談ください。
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参考:これ1冊できちんとわかる 図解 東洋医学(マイナビ)