犬の便の色や形からわかる|愛犬の健康チェック方法
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みなさんは、愛犬の便をじっくり観察したことがありますか?
実は、便は「健康のバロメーター」ともいわれており、色や形に変化が見られる場合、体調の異常を示している可能性があります。
愛犬の健康状態を毎日しっかりチェックするために、便の変化を見逃さないことが大切です。
今回は、便の色や形からわかる健康状態や、日々の観察のポイントについて詳しく解説していきます。
■目次
1.正常な便と異常な便の見分け方
2.便の異常はどのような原因が考えられる?
3.便のチェック方法と緊急度の目安
4.診断方法や治療法について
5.まとめ
正常な便と異常な便の見分け方
健康な犬の便は黄褐色〜茶色で、形は丸太状になっているのが理想的です。適度な硬さがあり、ティッシュでつまめるくらいがちょうどいい状態です。
もちろん、便なので多少のニオイはありますが、あまり強くはないのが普通です。
逆に、便の色が黒っぽかったり、柔らかすぎてティッシュでつまめなかったり、ニオイが普段よりきつく感じる場合は、異常があるサインかもしれません。
便の異常はどのような原因が考えられる?
犬も人間と同じように、食べたものが体内で消化・吸収され、不要なものが便として排泄されます。そのため、便に異常が見られる場合は、食事内容や飲んだものの量がいつもと違う場合や、消化機能に異常がある可能性が考えられます。
さらに、便の異常が見られる際に考えられる主な病気には以下のようなものがあります。
・食物アレルギー
・寄生虫感染
・感染症(細菌、ウイルス)
・消化器や泌尿器、生殖器、肛門周囲の腫瘍
・消化器の炎症
・慢性腸症
・腸閉塞
・中毒
・肝臓や膵臓の病気
・薬の副作用 など
便の異常は腸内の問題だけでなく、肛門や会陰部、泌尿器、生殖器、骨盤などの異常によっても起こることがあります。便自体は正常に作られていても、これらの部位に異常があると、うまく排便できなくなることがあるため注意が必要です。
便のチェック方法と緊急度の目安
下痢や便秘の診断時に「糞便スコアチャート」という指標を使って、便を形状や硬さで7段階に分類することがあります。
まず、愛犬の便の状態が表のどの番号に当てはまるかを確認してみてください。
1〜3の状態であれば緊急度は高くなく、普段の様子を見守ることができます。ただし、1番の硬い便の場合は、便秘の可能性があるため注意が必要です。
4〜5の場合は、まだ様子見が可能ですが、便の状態が6番やそれ以降の状態(さらに柔らかくなる、または水っぽくなる)に進行する場合は、緊急度が高まりますので早めに動物病院で診察を受けましょう。
診断方法や治療法について
一般的には、西洋医学に基づいた身体検査、糞便検査、血液検査、画像検査を行い、これらの結果から原因に合わせた治療を行います。
当院では、これらの西洋医学的な検査に加えて、東洋医学の「四診」という方法で体質を見極め、漢方治療を取り入れることもあります。
漢方治療は体の内側からバランスを整え、自然治癒力を高めることで調子を整えていく治療法です。副作用がほとんどないため、愛犬の体への負担も少なく済むのが大きなメリットです。
特に、便秘や下痢を繰り返している場合や、長引いている症状、また手術が難しいケースにおいて、漢方治療は有効な選択肢となります。西洋医学と併用することで、より効果的に治療を行うことが可能です。
まとめ
便の状態を確認することで、愛犬の健康をある程度把握することができます。
便に異常が見られる場合、放っておくと治療が長引く恐れもあるため、日頃から便の状態をよく観察し、何か気になることがあれば早めに動物病院を受診しましょう。
当院では一般的な治療に加え、漢方治療も取り入れています。病名がはっきりしていなくても体質そのものを改善し、体調を整える治療法です。
西洋医学と併用することで、より効果的な治療が期待できるため、愛犬の便に異常が見られた際は、ぜひお気軽に当院までご相談ください。
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