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慢性化しやすい犬と猫の泌尿器疾患|漢方でできる再発予防

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泌尿器疾患とは、腎臓、尿管、膀胱、尿道などに生じる病気の総称で、犬や猫では比較的よく見られる疾患の一つです。膀胱炎、尿石症、腎不全などが代表的な病気ですが、これらの疾患は再発しやすく、治療を続けてもなかなか改善しないケースも少なくありません。

 

こうした慢性的な泌尿器のトラブルに対して、漢方や鍼灸といった東洋医学的アプローチが効果を発揮することがあります。体質や症状に合わせた治療を行うことで、症状の緩和だけでなく、再発予防にもつながります。

 

今回は、犬や猫に見られる代表的な泌尿器疾患と、それに対する漢方治療の活用方法について解説していきます。

■目次
1.泌尿器疾患のよくある症状
2.起こりやすい泌尿器疾患
3.診断・治療方法
4.漢方や鍼灸による治療
5.まとめ

 

泌尿器疾患のよくある症状

泌尿器疾患を発症すると、主に排尿に関する異常が見られます。以下のような症状が現れた場合、早めの対応が必要です。

 

頻尿:何度もトイレに行くが、尿が少量しか出ない

失禁:尿漏れや、トイレ以外で粗相をしてしまう

排尿障害:尿が出にくくなり、残尿感が続く

尿閉:尿がまったく出なくなる状態(緊急対応が必要)

排尿痛:排尿時に痛みがある

血尿:尿に血が混ざっている

 

これらの症状以外にも、多飲多尿(水を多く飲み、尿が増える)や、尿毒症による神経症状、嘔吐といった全身症状が現れることがあります。

特に尿が出なくなる「尿閉」は命に関わるため、すぐに動物病院を受診する必要があります。

 

泌尿器の不調は放置すると腎臓に負担がかかり、慢性化する恐れがあるため、早期の治療が大切です。

 

 

起こりやすい泌尿器疾患

犬や猫に多く見られる泌尿器疾患には、以下のようなものがあります。

 

<腎臓病>

腎臓の機能が低下し、老廃物を十分に排出できなくなる状態です。急性と慢性があり、特に慢性腎臓病は高齢の犬や猫に多く見られます。

 

<膀胱炎>

膀胱の内壁に炎症が起こり、頻尿や排尿時の痛みを引き起こします。細菌感染やストレスが原因となることが多いです。

 

<尿路感染症>

尿道や膀胱、腎臓などに細菌が感染し、炎症を引き起こします。放置すると腎臓病など、重篤な症状につながる恐れがあります。

 

<下部尿路疾患(FLUTD)>

に多く見られる疾患で、尿道や膀胱のトラブルが含まれます。排尿困難や血尿が代表的な症状で、尿道が詰まると命に関わるため、早急な治療が必要です。

 

<尿石症>

尿路に結石ができることで、頻尿、排尿痛、血尿などの症状が現れます。結石の種類によって治療法が異なります。

 

<泌尿器の腫瘍>

膀胱や尿道に腫瘍ができることがあります。腫瘍ができる場所によっては、排尿障害が起こるため、早期発見と治療が大切です。

 

 

診断・治療方法

泌尿器疾患の診断は、主に以下の方法で行います。

 

尿検査:尿の成分や細菌の有無を確認し、感染や結石の有無を調べます。

画像検査:超音波やレントゲンで腎臓や膀胱、尿道の異常を確認します。

血液検査:腎臓の機能や感染の有無を確認するために行います。

 

<東洋医学的な診断>

当院では、これらの西洋医学的な検査に加え、東洋医学的診断も取り入れています。東洋医学では、五感を使って行う「四診」(望診、聞診、問診、切診)を重視します。これにより、生活環境や体質なども考慮し、体のバランスがどのように崩れているかを判断し、「」を見極めます。こうした診断により、個々の動物に合った治療を行います。

 

<治療方法>

治療法は、病気の原因や症状によって異なります。一般的な治療法には以下のものがあります。

 

薬物療法:抗生剤や消炎剤、利尿剤などを使用し、症状や感染のコントロールを行います。

食事療法:結石や腎不全などの管理のために、特定の成分を調整した療法食を用います。

手術:尿道閉塞や腫瘍など、薬物療法では改善が難しい場合に行います。

 

 

漢方や鍼灸による治療

西洋医学的治療で効果が見られない場合や、薬が効きにくくなってしまった場合には、漢方や鍼灸が有効です。

西洋医学が症状や患部に直接アプローチするのに対し、東洋医学は体全体のバランスを整え、体質そのものを改善することを目的としています。そのため、はっきりとした診断名がつかない不調や、西洋医学的な検査で異常が見つからないケースにも適しています。

 

漢方や鍼灸の治療では、同じような症状や病気であっても、動物の体質や環境、生活習慣に応じてオーダーメイドの治療ができる点が強みです。例えば、同じ膀胱炎であっても、体質によって処方する漢方薬や鍼のツボが異なることがあります。

 

<こんな場合におすすめ>

・検査で異常がないのに体調がすぐれない

・原因がはっきりしない不調が続いている

・慢性的な病気で再発を繰り返している

・西洋医学の薬が効かなくなった、または副作用が心配

 

漢方薬は、動物の自然治癒力を高める効果が期待できるため、長期的な健康維持にも役立ちます。また、鍼灸は血行促進や免疫力向上、痛みの緩和に効果があり、心身のバランスを整えます。

 

東洋医学的な治療は、西洋医学と組み合わせることで相乗効果が期待でき、慢性的な病気の再発予防にもつながります。

 

 

まとめ

泌尿器疾患は、犬や猫に比較的よく見られる病気の一つですが、再発を繰り返し、なかなか完治しないケースも少なくありません。

そのため、治療に行き詰まった場合には、漢方や鍼灸などの東洋医学的治療を選択肢の一つとして取り入れることをおすすめします。

 

当院では、従来の西洋医学に加え、漢方や鍼灸を用いた統合医療を行っています。

それぞれの動物の環境、食事、体質に合わせた動物専用の漢方薬を処方し、一頭一頭に合ったオーダーメイドの治療を行うことができます。これが漢方の大きな強みでもあります。

 

東洋医学は、単に症状を抑えるために痛み止めを使うのではなく、体質全体の改善を目指します。そのため、ホルモンバランスの乱れや、原因が特定できない不調の予防にも効果的です。慢性的な泌尿器疾患の改善や体質強化に役立つため、再発防止にも期待が持てます。

 

愛犬や愛猫の健康に関してお悩みの方は、ぜひ一度当院にご相談ください。西洋医学と東洋医学を組み合わせた統合医療で、動物たちが健やかな生活を送れるよう全力でサポートいたします。

 

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<参考>

これ1冊できちんとわかる 図解 東洋医学(マイナビ)

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