犬や猫の嘔吐の原因とは?|吐物の状態から健康状態をチェックする方法
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愛犬や愛猫が突然吐いてしまうと心配になりますよね。
嘔吐は、実は比較的よく見られる症状のひとつですが、その原因はさまざまで、適切な治療には詳細な検査が必要となることも少なくありません。
しかし、検査を行う前に吐物の状態を確認するだけでも、いくつかのヒントを得られることがあります。吐物の色や形状によって、どのような問題が考えられるかを知ることで、より早く適切な対応を取ることができるかもしれません。
今回は、吐物の状態からわかることや、それに基づく治療法について、わかりやすく解説していきます。
■目次
1.犬や猫が嘔吐したときに考えられること
2.吐物の状態から健康状態を確認する方法
3.診断方法や治療法について
4.まとめ
犬や猫が嘔吐したときに考えられること
犬や猫が嘔吐する原因はさまざまで、胃腸炎や食物アレルギー、異物誤飲、感染症などがその一例です。
そのため、動物病院では必要に応じてさまざまな検査を行い、原因を特定して治療を行っていきます。
しかし、吐物の臭いや中身に注目することで、病気の兆候や健康状態をある程度把握できることもあります。たとえば、消化されていない食べ物が見られる場合や、特有の強い臭いがある場合などは、体内で何が起こっているかのヒントとなるかもしれません。
吐物の状態から健康状態を確認する方法
愛犬や愛猫が嘔吐してしまったとき、まずは吐物の状態を確認することが大切です。その状態によって、何が原因で嘔吐しているのか、ある程度判断することができます。
<吐物に酸っぱい臭いがなく、液体が薄い場合>
ストレスや食生活の乱れが原因で、胃腸の働きが低下している可能性があります。食べ物がうまく消化できず、冷気や冷たいものの摂取で胃が冷えている状態かもしれません。この結果、本来胃から腸へ流れるはずのものが逆流していることがあります。
<濁った吐物を勢いよく吐いた場合>
ストレスや食生活の不規則さが原因で、胃や横隔膜からへそのあたり(中焦)が熱を持っていることが考えられます。この熱によって飲食物が胃の中で発酵し、逆流してしまうことがあります。
<吐物から酸っぱい腐敗臭がし、未消化物が混じっている場合>
食べ過ぎによって脾臓や胃に負荷がかかり、食べたものが消化されずに腐敗してしまっている可能性があります。こうした場合、胃腸に溜まった未消化物が逆流して嘔吐に繋がります。
<酸っぱい臭いがない未消化物を吐いた場合>
ストレスが原因で、肝臓の働きが胃に影響を与えていることが考えられます。この結果、胃の動きが悪くなり、消化されていない食べ物が逆流していることがあります。
<吐物が黄緑色や青っぽい色をしている場合>
ストレスや食生活の乱れが原因で、肝臓や胆嚢に余分な水分や熱が溜まっている(肝胆湿熱)可能性があります。その結果、胆汁が胃に逆流し、嘔吐物が黄緑色や青っぽくなることがあります。
<食べ物を吐いた後に水を吐き、嘔吐後に水を飲めない場合>
発熱が原因で胃液が不足している状態(胃陰不足)になっている可能性があります。これにより、食べ物が胃から腸へ正常に移動せず、逆流してしまうことがあります。特に、食べ物を吐いた後に水のような透明な液体を吐いて、水を飲めなくなっている場合は、脱水の危険性もあります。
<痰やよだれが混じった透明な水分を吐いた場合>
体内の水分代謝が低下しているときに水分を過剰に摂取すると、胃の中の水分がうまく消化されず逆流してしまうことがあります。この場合、吐物には痰やよだれが混じった透明な液体が含まれることが多いです。
<鮮血や紫褐色の血の塊を吐いた場合>
ストレスや熱が原因で、胃や肝臓、胆嚢に負担がかかり、胃の血管が傷ついて出血している可能性があります。
診断方法や治療法について
動物病院では、まず身体検査や血液検査、画像検査などを行い、症状の原因を詳しく調べていきます。
これに加えて、当院では「四診」という東洋医学的な診断方法を取り入れています。これは、視覚・聴覚・嗅覚・触覚を使って体の状態を総合的に判断する診察法です。
治療は検査の結果に基づいて、薬物療法や食事療法、場合によっては手術を行います。
また四診の結果、体のバランスが崩れていると判断された場合には、漢方や鍼灸も有効な治療方法です。
漢方や鍼灸は動物の自然治癒力を高める効果が期待でき、西洋医学の治療と併用することで薬の効果を高め、西洋医学では治療が難しいケースでも症状の改善が期待できます。
まとめ
愛犬や愛猫が嘔吐してしまうと、ついすぐに片付けたくなるかもしれませんが、吐物の状態を確認することで、健康状態に関する重要な情報を得ることができます。
診察時に吐物があると、診察がよりスムーズに進むことがありますので、可能な限り吐物は捨てずにビニール袋などに入れてご持参ください。
嘔吐が続く場合やご心配なことがあれば、当院までご相談ください。
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<参考>
これ1冊できちんとわかる 図解 東洋医学(マイナビ)