犬や猫も冷える!?|漢方治療と日常ケアで寒い季節を乗り切る方法
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寒い季節になると、人間だけでなく犬や猫も冷えの影響を受けやすくなります。特に、体を温める力が弱い「陽虚体質」の犬や猫は、季節に関係なく体調管理に気を配る必要があります。
そのため、体質改善に取り組んだり、日常的なケアを取り入れたりすることが重要になります。
今回は、犬や猫の冷え対策について、漢方を活用した体質改善の方法や、ご家庭で手軽に実践できる日常ケアについて解説します。
■目次
1.冷えが引き起こす体調不良とは?
2.日常的なケア方法
3.漢方による治療サポート
4.まとめ
冷えが引き起こす体調不良とは?
東洋医学では、体を温める力が弱くなり、冷えやすい体質のことを「陽虚体質」と呼びます。この考え方は、すべての物事を「陽」と「陰」に分類する「陰陽論」に基づいています。
「陽」は熱やエネルギーを、「陰」は冷えや静を表します。身体を温める働きを持つ「陽気」が不足してしまうと冷えが生じやすくなり、さまざまな不調を引き起こします。
特に寒い季節は、外部から「寒邪」と呼ばれる冷えの原因が体に入り込み、陽気を損なうことで冷えが深刻化しやすくなります。
この冷えが体内のどの部分に影響を与えるかによって、現れる症状が異なります。
<腎陽虚体質>
腎は膀胱と深い関係があり、腎が冷えると頻尿や排尿のトラブルが起こりやすくなります。また、足腰の冷えが腎の陽気(体を温めるエネルギー)を消耗し、その結果として足腰に痛みや不調が現れることがあります。
<脾陽虚体質>
脾は胃と密接につながっているため、脾が冷えると消化器官への影響が出やすくなります。具体的には、腹痛や下痢、吐き気などの消化器症状が現れることがあります。これらの症状は、冷えが消化機能を妨げてしまうことで起こります。
また、寒邪(冷えの原因となる外部からの悪影響)が体内に入り込むと、気・血・津液(体内のエネルギーや水分)の流れが滞るため、頭痛や関節痛といった痛みが体のあちこちに現れることもあります。
日常的なケア方法
冷えを解消したり予防したりするためには、日々のケアがとても重要です。愛犬や愛猫が快適に過ごせるよう、次のような方法を取り入れてみましょう。
<食養>
陽気を補うには、食事からのケアが効果的です。東洋医学の「薬食同源」という考え方に基づく食養では、食材の性質を活かして体調を整えます。
陽虚体質の場合、体を冷やす「寒性」の食材を控え、体を温める「辛味」の食材と、エネルギーを補う「甘味」の食材を組み合わせるのがおすすめです。
■陽虚体質におすすめの食材:羊肉、鶏肉、鹿肉、鮭 など
<適度な運動と日光浴>
運動は体温を上げるため、愛犬や愛猫にとっても冷え対策に役立ちます。
散歩や室内での遊びを積極的に取り入れ、体をしっかり動かす機会を作りましょう。特に、愛犬の場合は毎日の散歩を欠かさず行うことで、冷えだけでなくストレスの軽減にもつながります。
また、日光浴には陽気を補う効果があります。寒い季節でも、日中の暖かい時間帯に外へ出て、日差しを浴びるようにするとより効果的です。
ただし、気温が高すぎる夏の昼間は避けて、朝や夕方の涼しい時間帯に行うなど、気候に合わせた工夫を心がけてください。
<ストレス解消>
ストレスが溜まると気の巡りが悪くなり、体が冷えやすくなります。
適度な運動や飼い主様との触れ合いを通じて、愛犬や愛猫がリラックスできる環境を整えることが大切です。日々のケアの中で、ストレスの少ない穏やかな生活を心がけましょう。
漢方による治療サポート
犬や猫の冷え対策には、漢方治療が効果的な方法の一つです。
西洋医学では、「冷え」そのものを直接治療する方法はなく、冷えが病気によって引き起こされている場合にはその病気を治療し、冷えからくる症状を軽減するアプローチが一般的です。
一方、漢方治療は体全体のバランスを整え、体質そのものを改善することを目的としています。
不足している陽気を補うことで、「冷えやすい」体質を根本から改善し、冷えによる体調不良を予防することができるのが特徴です。
また、冷えのタイプは一様ではなく、「陽虚体質」といっても、冷えの中心がどの部分にあるかは個体ごとに異なります。さらに、陽虚以外の体質が複合的に影響している場合も少なくありません。
そのため、漢方治療では東洋医学に基づいた「四診」という独自の検査を行います。四診では、五感を使って愛犬や愛猫の状態を詳しく観察し、体質や症状に応じて最適な漢方薬を個別に処方します。
漢方は冷えを改善するだけでなく、体全体の健康をサポートする頼もしい治療法です。愛犬や愛猫の冷え対策にお悩みの際は、ぜひ漢方治療を検討してみてください。
まとめ
寒い季節になると、犬や猫も冷えによる体調不良が起こりやすくなります。そのため、普段から食養や適度な運動、ストレス解消を意識して、寒邪に負けない体づくりをしておくことが大切です。
また、漢方は冷え対策としても効果的な方法です。特に、毎年寒くなると体調を崩しやすい犬や猫の場合には、症状が出る前から漢方を取り入れることで、冷えを未然に防ぐことが期待できます。
当院では、従来の西洋医学に加えて、漢方を活用した統合医療を行っています。
動物専用に調整された漢方薬を、一頭一頭の環境や食事、体質に合わせて処方し、オーダーメイドの治療をご提案することが可能です。
愛犬や愛猫の健康に関してお悩みの方は、ぜひ一度当院にご相談ください。
西洋医学と東洋医学の強みを組み合わせた治療で、動物たちが健やかで快適な生活を送れるよう、心を込めてお手伝いさせていただきます。
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