犬や猫のお灸治療|冷え改善で健康サポート!東洋医学の効果とは?
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寒い季節が訪れると、私たちと同じように犬や猫も体調を崩しやすくなります。
特に、冷えが原因でお腹を壊し、下痢や食欲不振に悩む子も少なくありません。愛犬や愛猫の健康を守るためには、体をしっかりと温めることがとても大切です。
そこで注目したいのが「お灸治療」です。皆様は、お灸が犬や猫の冷え改善に役立つことをご存じでしょうか?
今回は、犬や猫のお灸治療について詳しく解説していきます。
■目次
1.お灸治療とは?
2.犬や猫にはどの方法が適しているの?
3.お灸が効果的な症状
4.お灸と併用するマッサージ・ツボ療法
5.お灸治療はこんな犬や猫におすすめです
6.まとめ
お灸治療とは?
お灸治療は、経穴(ツボ)にヨモギの葉から作られた「もぐさ」を用いて温熱刺激を与え、身体の自然治癒力を引き出す伝統的な治療法です。
特に、冷えによる不調を和らげる効果が期待できます。寒い季節、体調を崩しやすい愛犬や愛猫にとって、心強いケア方法です。
<お灸の種類>
ひと口に「お灸」と言っても、実際にはいくつかの方法が存在します。それぞれの特徴を簡単にご紹介します。
・有痕灸:皮膚の上で直接もぐさを燃焼させ、灸の痕を残す方法です。(透熱灸)
・無痕灸:皮膚に直接触れず、灸の痕が残らない方法です。(知熱灸や隔物灸)
・その他の方法:棒灸や灸頭鍼、台座灸など、伝導熱や輻射熱を活用した方法があります。
<お灸治療のメリット>
お灸治療の大きな魅力は、副作用がほとんどないことです。
温熱刺激を与えるだけの自然療法なので、薬を使わずに体調を整えたいと考える飼い主様にも安心して取り入れていただけます。ただし、熱さに敏感な子もまれにいます。
その場合は、熱さを和らげながら進めることで、ほとんどの犬や猫がリラックスした状態で施術を受けることができます。
犬や猫にはどの方法が適しているの?
犬や猫にお灸を行う際は、直接据える方法は毛が焦げる可能性があるため避けられます。その代わりに、以下のような工夫が一般的です。
・棒灸:もぐさを棒状に固めたものを直接肌に触れないように近づけて使用します。ホルダーを使って棒灸を固定することで、安定した施術が可能になります。
・タオル越しの棒灸:熱さを和らげるため、タオルを使いながら温熱を伝えます。
・知熱灸:毛を剃っている場合や、毛が邪魔にならない箇所では、もぐさをひねったものを使用することもあります。この方法では、燃焼させたもぐさを焼き切らずに消火します。
お灸が効果的な症状
お灸治療は、痛みや炎症を和らげるだけでなく、ホルモンバランスや自律神経を整えたり、免疫力を高めたりすることで、体全体の調子を整える効果が期待されています。
犬や猫の場合、お灸治療は次のような症状に使われることがよくあります。
・椎間板ヘルニア
・てんかん発作による足のふらつき
・関節炎や膝蓋骨脱臼による足の痛み
・食欲不振、下痢、嘔吐、便秘
さらに、次のような症状にも効果が期待できます。
・皮膚炎や内分泌疾患
・口内炎、多飲多尿
・夜鳴き
さらに、お灸治療は病気になる前の段階、いわゆる「未病」のケアにも適しています。愛犬や愛猫が不調を抱える前に施術を行うことで、病気の発症を予防し、健康的な毎日を守ることができます。
お灸と併用するマッサージ・ツボ療法
お灸とマッサージやツボ療法を組み合わせることで、より高い効果が期待できます。
<東洋医学に基づくマッサージ・ツボ療法とは?>
東洋医学のマッサージやツボ療法は、一般的なマッサージとは異なり、経絡(気・血・津液の通り道)に沿って行います。
指圧やマッサージを通じてツボを刺激し、体内の巡りを整えることで、体のバランスを保ちながら健康な状態へ導くことを目指します。
<お灸治療前にマッサージを取り入れるメリット>
お灸治療を始める前にマッサージやツボ療法を取り入れることで、犬や猫の緊張を和らげることができます。
リラックスした状態で施術を受けられるようになるため、お灸の効果も高まりやすくなります。
さらに、マッサージ中に筋肉の張りや触られるのを嫌がる箇所を見つけることで、体のどこに不調があるかを確認する手がかりにもなります。
お灸治療はこんな犬や猫におすすめです
お灸治療は、以下のような特徴や状況に当てはまる犬や猫に適したケア方法です。
・痛みに敏感
お灸はほとんど痛みを伴わないため、注射や処置が苦手な犬や猫でも安心して受けることができます。痛みに対する不安が少ない分、リラックスして施術を受けやすいのも魅力です。
・高齢
検査では異常が見つからないものの、「最近元気がない」「食欲が落ちて体重が減ってきた」といった高齢の犬や猫に見られる不調にもお灸は適しています。
こうした「未病」の段階でお灸を取り入れることで、病気を予防しながら体調を整え、活力を取り戻すサポートができます。
・ 西洋医学的な治療が長期化している場合
慢性病のケアにもお灸は向いています。副作用がほとんどないため、西洋薬と併用することで薬の量を減らし、副作用を和らげることが期待できます。
長期間の治療による負担が大きい犬や猫にも、体に優しいケアとしておすすめです。
まとめ
お灸治療は、体をしっかり温める力があり、寒い時期にお腹が冷えて体調を崩しがちな犬や猫にぴったりのケア方法です。
また、マッサージやツボ療法、西洋医学的な治療と組み合わせることで、より高い効果を期待することができます。
この冬、お灸治療を取り入れて、大切な愛犬や愛猫と一緒に元気に過ごしましょう。
当院では、従来の西洋医学に加え、漢方や鍼灸など東洋医学の知識を活かした統合医療を行っています。お悩みや不安がある方は、ぜひ一度ご相談ください。西洋医学と東洋医学の両方からアプローチし、大切なご家族である犬や猫の健康をしっかりとサポートいたします。
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・犬や猫の治療で使う鍼灸とは|自律神経やホルモンバランスを整える
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<参考>
これ1冊できちんとわかる 図解 東洋医学(株式会社マイナビ)
ペットのための鍼灸マッサージマニュアル(株式会社医道の日本社)